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2018.02.15 UP
流氷のこと・・・

今年もオホーツク沿岸流氷が来た、そして例年よりもかなり早くに稚内の沿岸にも着氷したそうである、と我々は当たり前のようにこの事象を見聞きしているのだが、オホーツクの沿岸に押し寄せるこの流氷は世界でも稀な、かなり奇跡のような事象のようである。

日本人にとってオホーツクは北の端、最果ての地、だから寒くて当たり前、流氷も大して疑問にも思わず冬の風物詩と受け入れてきた。でも例えば流氷と言えば網走市?が浮かぶが、網走市は北緯44度に位置する、北半球で同位置にはモナコやコートダジユールなどの地中海の暖かい有名な保養地があるのである。

こんな低緯度で流氷が存在するのは、世界中でここオホーツク沿岸だけ同緯度の太平洋にも日本海も流氷はありません。この地域では、春から秋にかけては花々が咲き乱れ、気温も夏には30度を超える日も珍しくない、その時期の日本で一番暑い地域なんて言う日も有るくらいであリながら、冬は生活地帯のすぐ目の前で流氷が見られるのである。

今まで殆ど当たり前の事として受け入れていたので深く考えたこともなかったが、この奇跡の海の環境について少々深い考察を???しましょう。


オホーック海は太平洋の縁海(列島や半島に囲まれた海域)の一つで、ユーラシア大陸カムチャッカ半島千島列島サハリン島、そして北海道に囲まれた海域で、面積的には日本海よりやや広いのですが、平均水深970mとかなり浅い海だそうです。世界の全海洋の平均水深が約3800mにくらべるとその浅さが解ります。

南の方には3000mを超える深い千島海盆がありますが、北へ向かうにつれ大陸棚が広がり浅い海となっているようです。オホーツク海の北側ユーラシア大陸(シベリア地域)東側はんカムチャッカ半島に囲まれ他の海とは通じていませんが、南側千島列島の各海峡で太平洋と、西側の宗谷海峡とタタール海峡(間宮海峡)で日本海つながっています。

そうしてタタール海峡の北方には、極東の大地を貫く大河・アムール川(中国名ヘイロン【黒竜】江)が流れ込んでいます。この全長4368Kmで世界8位の大河の存在がオホーツク海に流氷の奇跡の生み、世界でも稀な豊穣の海にしているようです。アムール川の真水が大量に注ぎ込むことでオホーツク海は表層50mまでの塩分が薄いと言う独特の2重構造をしているそうです、特にアムール川の河口付近では世界一寒いシベリアの風に晒され、塩分の薄い2重構造の海水浅い大陸棚などの好条件?が重なり流氷が出来ます、それと海水が凍った「海氷」が混合し氷結が広がります。正確に言うとアムール河口付近の氷結範囲が広がり北海道に届くので、流れ着くのではありません

なぜ豊饒の海と言われるか、それにもアムール川が大きく関わっています。アムール川の中国名「黒竜江」はなぜか?川の水が黒っぽいのです、これは上流の森林、湿地のフルボ酸川の水は外洋の表面海水の100万倍の鉄分濃度があるそうです。この植物性腐食酸は植物性プランクトンを大増殖させます、この大量の餌で、これらを食べる大量の動物性プランクトンが大発生します、と言うわけで最終的には、これを食べる魚が大量発生することになり、人間はこれを称して奇跡の海・豊穣の海と言っています。

でも近年は昔の半分も流氷がないと沿岸の人々は言っています、アムール川の環境汚染など環境破壊のツケも急速に来ているようです、魚も豊穣と言うほどは取れなくなってきていますよね、寂しいねまったく。