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2018.02.28 UP
スケートの求道者と神様のカルテとの出会い・・

『神様のカルテ』と言う本を読んだことがありますか?映画化もされました。「嵐」の櫻井翔さんが主役の医師を演じました、奥さんを演じたのは宮崎あおいさんでした。

原作は夏川草介さんで2009年から小学館文庫として4作品が出ています。舞台は信州松本市にある本庄病院で主人公は内科医です。この病院は、地域医療を担う大規模民間病院であり、「24時間365日対応」が看板の医療機関です、医者が3日寝ないことも日常茶飯事、専門外の範囲まで診療を行うのも普通という過酷な環境の中で展開される医師と家族、患者と家族の様々な人間模様が描かれています。

まだ未読の方は是非読んで下さい、いい本ですよ。若い方にも歳を召された方にも楽しんで頂けると思います、映画も機会があったら是非観て下さい、本とは違った意味で楽しめますよ。


となんでこの本の紹介をしているかと言えば、終わったばかりの冬のオリンピックに少々関係があるからなんです。女子スピードスケートで500m(金」1000m(銀)と大活躍した小平奈緒さんは長野県茅野市生まれ地元の高校卒業時に実業団からの誘いを蹴って長野県松本市にある国立信州大学に進学した珍しい経歴の方です。中学時代から地元の良いコーチのもとで才能を伸ばし数々の中学記録を作りました、なんと中学で高校生を破り全日本ジュニアチャンピヨンにもなった逸材でした。でもスケート名門高校へは進まず、地元のスケート部もない進学校へ進みました、でもコーチのもとでスケートを続けインタハイでも2冠達成、全日本ジュニアでも優勝を飾りました。そして保健体育教員になる夢を捨てず信州大学教育学部へ進み、2009年信州大学教育学部生涯スポーツ課程を卒業。卒論は「有力選手のカーブワーク動作解析の研究」だそうです。
大学時代も全日本学生選手権で数々の優勝など輝かしい成績を残しました。ご存知でしょうが日本のスピードスケートの有力選手の多くは有力な実業団チームに属し生活面、金銭面で大きな援助を受けながら選手生活を続けています。


でも小平選手は信州大学で清水宏保を育てた結城監督(現信州大学教授)と出会います。こうして大学卒業後も結城コーチと二人三脚でスケートを続けることを決心します。しかし世のご時世は壁が高く、長野の地元ではスケートを続けながら働ける環境を提供できるスポンサー企業はありませんでした。そんな時かって小平選手の怪我の治療などで世話になった松本市にある相澤病院との出会いがありました。働きなが松本で選手として結城監督の教えを受けながら競技を続けたいと言う希望に病院の相澤理事長が「高いお金は出せないけど、結城さんの指導を受けて競技を続けることぐらいなら、何とかできる」答えてくれました。こうして小平選手は相澤病院のスポーツ障害予防センターの職員となり現在に至ります。ですから小平選手の所属がとても珍しい?民間の相澤病院となっているのです。                  

で何だと言うと、この相澤病院が『神様のカルテ』のモデルとなった病院なのです。
病院では「特別待遇はしていません、一般職員と同待遇なので遠征費などの援助はしていません、強化選手として連盟から受ける補助でがんばっているんですよ」と言っておられます。でも外国への遠征などのときは長期出張扱いとするなどは、とても大きな経済的な支援ですよね、それを言わないところがいいですね。
地方の雄でもある民間医療機関の相澤病院は、長野県松本市で3代続く医者一族が育て上げた病院です。理事長は父親から「利益が出たら世のために使え」と言われてきたそうです。スケートの求道者たる小平選手と神様のカルテの最高の出会いでした。

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